Pythonで何ができる?Pythonを使った6つの技術とPythonのこれから
Pythonとはプログラミング言語の一種で、近年さまざまな場所で使われており、人気が高まっている言語のひとつです。特に強いのは機械学習やAI、自然言語処理などの分野であり、注目が集まっている分野で使われていることから、Pythonで何ができるのか詳しく知りたい人も多いのではないでしょうか。本記事では、Pythonの概要とPythonを使ってできる主な技術を6つ紹介します。
Pythonとは
Pythonとは、1991年に開発され近年人気の高まっているプログラミング言語です。Pythonが人気の要因として、プログラムのルールや文法がシンプルなこと、便利に使えるライブラリが豊富なことが挙げられます。人気の言語であるため、インターネット上でも書籍でも学べる情報が多く、プログラミングができる人材を一から社内で育てる場合にも使えます。
一方で、PythonはAIや機械学習など、高度な処理にも向いています。前述の豊富なライブラリを使うことで、複雑な処理を簡単に行えるようなデータベースが揃っているためです。Pythonが幅広い分野で使われるようになったのも、このライブラリの存在が大きいと言えるでしょう。このようにライブラリが使えるのも、Pythonがオープンソースの言語であり、無料で使えるだけでなく、日々世界中のプログラマーが機能やライブラリを追加しているためです。
Pythonでできること
では、実際にPythonを使ってできることを6つ紹介します。
機械学習やAIの開発
Pythonを使ってできることとして現在、一番注目を浴びているのがAI(人工知能)の開発ではないでしょうか。科学技術や数学、統計学を用いたフレームワークに加え、ディープラーニング用のライブラリも有名なものが複数あり、機械学習やAIをこれから実用化したいという人にもおすすめの言語です。Pythonにおける機械学習やAIでは、画像解析・音声解析・自然言語処理などが得意です。
AIや機械学習では、膨大なデータを処理して対象を見分ける、解析するなどが得意分野です。人間は経験を積んで物の見分け方や理解の仕方を学んでいきます。同じように、Pythonを使ったライブラリによるAIや機械学習では、ビッグデータと呼ばれる膨大なデータのなかから自分で法則やルールを見つけ出すアルゴリズムを構築することができます。
WEBサービスやWEBアプリケーションの制作
Pythonは、WEBサービスやWEBアプリケーションの制作にも有用です。WEBサービスやWEBアプリケーションとは、ブラウザ上で動くサービスやアプリケーションのことであり、ネイティブアプリと呼ばれるスマートフォンアプリやデスクトップアプリとはやや異なります。例えば、DropboxやInstagram、Pinterestなどはスマートフォンアプリも出ていますが、もともとはPythonで書かれたWEBサービスです。
世界中で利用されている動画サイトのYouTubeも、Pythonで書かれたWEBサービスです。これらのサービスを一から作ろうとするとプログラム量が膨大になりますが、これもフレームワーク、すなわちライブラリに収められたさまざまな雛形を使うことで開発されました。
WEBアプリケーションの開発に関しては、「WEBアプリケーションの開発手順とは? 仕組みや開発言語を紹介」もぜひご参照ください。
画像処理、自然言語処理
機械学習やAIの開発ともつながるものですが、Pythonを使えば、画像やテキスト・音声などさまざまな情報を認識・分析する「画像処理」や「自然言語処理」といった処理も行えます。これは、ディープラーニングと呼ばれる深層学習を用いて、画像に写っているものが何か、音声で話されている言語や言葉は何かなどを認識するものです。
深層学習とは機械学習のひとつにあたり、人間の神経構造を真似て作った「ニューラルネットワーク」を何層にも重ね(深層)、コンピュータ自身が自ら学習を深めていくことができるやり方です。例えば、スマートフォンの翻訳機能で音声やテキストを入力した際、この「自然言語処理」によって自然な翻訳が作られています。ひと昔前は翻訳した文章が不自然なことが話題になるほどでしたが、近年の自然言語処理を使った翻訳ではかなり人間の話す言葉に近い自然な文章が作れるようになっています。
また、画像処理も写真が「どんな場面を表しているか」「画像に写っている物体は犬か猫か」などを解析するのに使われています。例えば、病気の発見や監視カメラ映像から不審者を発見するなどに役立つ処理です。
画像認識と自然言語処理については、以下の記事でも詳しく紹介しておりますので、ぜひご参照ください。
「AIを使った画像認識の仕組みや種類とは?活用事例も含めてご紹介」
「自然言語処理(NLP)とは? AI領域におけるその仕組みとできることを解説」
デスクトップアプリの制作
デスクトップアプリとは、デスクトップパソコンやノートパソコンなど、パソコンの画面上で動くアプリのことを指します。2Dゲームや3Dゲームはもちろん、パソコン上で行う作業を自動化させたり、WEBアプリケーションをより使いやすくカスタマイズしたりすることも可能です。
自動データ処理や分析など、業務効率化
前述のカスタマイズなども業務効率化の一環ですが、Pythonを使えば、これまで手動で行っていたデータ収集なども自動化できます。例えば、以下のことです。
インターネット上にある記事を、条件に合うものだけ抽出する
スクレイピングと呼ばれる技術で、WEBサイトの見出しや画像といった情報を自動で取得し、加工して新たな情報を生成するものです。複数のニュースサイトでの話題の取り上げられ方を分析したり、各種ECサイトでの価格相場を知ったり、株価を予測したりできます。
表計算を自動化する
勤務時間のデータや経費管理、ToDoリストやタスク管理などのプログラムをPythonで自動化することができます。単なる数値の計算や集計だけならExcelの基本機能でもできるのですが、「データをグラフ化して見やすいレポートを作る」といった手動で行っていたことも、Pythonでの自動化が可能です。
API連携
APIとは、あるアプリケーションの機能を他のアプリケーションで使えるよう共有できる機能のこと。APIを使うことで、データを取得したり入力したりする自動化が簡単になります。TwitterやGoogleなどもAPIを提供していて、過去の投稿を閲覧したり、Google マップを使って配送業者に向けて最適な配達ルートを作成したりすることも可能です。
ブロックチェーンの開発
ビットコインを代表とした暗号取引の技術のことをブロックチェーンと言います。簡単に言えば、誰と誰がどんな取引をしたかがすべて記録に残り、ネットワーク上に接続された複数のコンピュータが互いにデータを共有し、チェックし合うことで不正な改ざんやアクセスを防げる技術です。
ブロックチェーン技術の開発により、ビットコインなどの仮想通貨はもちろん、音楽や絵画などのデジタルアートについてもNFTという所有権や履歴を表現できるようになったことで、簡単に複製ができなくなり、唯一無二の価値が生まれることになりました。これらの価値を支えている根幹にある技術も、Pythonなのです。特に、ブロックチェーン技術に必須である「hashlib」というライブラリを持っていることがPythonの大きな利点と言えます。
ブロックチェーンについては、「ブロックチェーンとは?基本的な概要や仕組み、活用事例をご紹介」もご覧ください。
Pythonのこれから
日本国内ではまだPythonエンジニアが少ない状況ですが、機械学習やAI開発、ブロックチェーンなどITのトレンドワードを牽引するPythonは、世界的に需要が高まっているプログラミング言語です。GAFAと呼ばれる大企業を始め、多くの企業で採用されているため、まだまだ勢いは衰えないでしょう。つまり、Pythonを使って作った人工知能やWEBサービスなどは今後も末長く使える可能性が高いと考えられます。
まとめ:Pythonは豊富なライブラリで注目の技術を支えるプログラミング言語
Pythonは、オープンソースで日々新しい機能やライブラリが増え続けているほか、既に豊富なライブラリがあり、機械学習やAI、画像処理や自然言語処理、ブロックチェーン技術など現在のIT分野で注目の技術の多くを支えるプログラミング言語です。
一方、日本国内でPythonを扱えるプログラマーは少ないのが現状です。NTQではAI(人工知能)を始め、Pythonを使ったサービスのオフショア開発にも力を入れています。開発事例については、こちらのページからご確認いただけます。
Pythonによるサービス開発をお考えであれば、ぜひ一度お気軽にご相談ください。