ローコード開発とは?特徴やおすすめ5選も紹介
市場の変化に応じて、業務に活用するシステムやアプリのニーズが高まっています。システム開発の方法が多様化していますが、そのなかでも、DX推進に役立つ技術として現場に特化した「ローコード開発」が注目されています。
この記事では、ローコード開発についての特徴、その背景とメリット・デメリットを解説します。また、日本国内で広く使われているプラットフォームを紹介します。
ローコード開発とは
ローコード開発 (Low code development) とは、可能な限りソースコードを書かずに、マウス操作などで画面部品やロジック部品を組み合わせて、アプリケーションを迅速に開発する手法です。自動化の工程が多いため、ローコード開発で制作されたシステム・アプリは品質が高く、安定しています。また、ユーザー自身が開発することで、認識の相違を防ぎ、業務効率化につながります。
ローコードが注目されている背景
2018年9月7日に経済産業省が発表したDXレポートでは、現在のITシステムの問題点を指摘し、2025年までにシステムの刷新をしなければ機能不全に陥るとされる「2025年の崖」を警告しました。そこで、DXへの取り組みの重要性とその支援ツールが注目されました。
2020年に新型コロナに影響をうけたした企業ではDXへの取り組みに迫られました。そのため業務のデジタル化、自動化を支援するツールとしてのローコード開発が普及しました。
ノーコード開発、従来の開発との違い
・ノーコード開発との違い
ノーコード開発は、名前の通りソースコードを記述せずにアプリケーションを作成するアプローチです。そのため、機能やサポートに制限が多いです。
ローコード開発は「なるべくソースコードを書かない」という特徴がありますが、ある程度の専門知識がないと、使用できません。それによって、ローコードで開発するシステムとアプリのほうはカスタマイズ性や拡張性が高いのが特徴です。
・従来の開発との違い
従来の開発では、エンジニアがゼロからコードを書くプログラミングの作業を行うため、ユーザーの要望に合わせてシステムやアプリを制作します。自由度や拡張性、柔軟性が高い一方、高い技術レベルが求められます。また、システムやアプリの品質はエンジニアの技術能力次第です。
ローコード開発のメリット
・生産性の向上
ローコード開発では、アプリを形成する既存モジュールを組み合わせることで、開発の難易度を低下させ、エンジニアの負担を軽減する特徴があります。ゼロからプログラミングするよりも開発時間を短縮できます。開発工数の減少に伴って、開発にかかるコスト(人件費)が削減できます。そのため、生産性を大幅に向上させることができます。
・品質の向上
ローコード開発では人によるプログラミングが少なくなるため、必然的にミスが減少します。したがって、バグを低減させ、バグの修正にかかる時間やコストが軽減します。その上、ITスキルのない業務担当者でも要望通りに開発ができるため、業務要件との相違による手戻りを防ぐことができます。こうして、ユーザーの目線に立った品質が高いアプリ開発が可能になります。
・セキュリティに関する負担低減
ローコード開発はプラットフォームを活用しますが、一般的にはプラットフォーム自体が不正な処理を防ぐセキュリティ対策を設けています。ゼロからシステムを構築するフルスクラッチ開発に比べ、セキュリティに関する負担が明らかに軽くなります。
ローコード開発のデメリット
・デザインや機能に関する制限
ローコード開発では、上述したプラットフォームに事前に用意されたモジュールをつかって機能を搭載するため、デザインや機能の制約があります。業務要件とぴったり合致しない場合があり、フルスクラッチ開発ほど自由度が高くはないです。
・プラットフォームの知識が必要
ローコード開発はプログラミング的な知識を高く求めていませんが、ローコード開発のメリットを全て生かし、品質の高いシステムを構築するには利用するプラットフォームの習熟が必要です。
ローコード開発のプラットフォーム5選
自社の要求を満たす品質の高いシステムを構築するには適切なローコードのプラットフォームを選定することがとても重要ですが、市場で提供されている300以上のプラットフォームの中から最適なものを見つけるのは簡単ではありません。その中で日本市場で人気のある5選を、以下通りまとめています。
①Outsystems
Outsystemsは高速度でアプリケーションを開発できるプラットフォームです。 モバイルアプリ、Webアプリ、およびエンタープライズグレードのアプリケーションの構築に使用できます。無料プランの他に、エンタープライズプラン(月額$6250以上)とユニバーサルプラン(月額$15000以上)があります。
特徴
・クラウドでもオンプレミスでも対応可能
・リアルタイムのパフォーマンスダッシュボード
・アプリの拡張性が高い
・他システムと統合しやすい
② mendix
Mendixはアプリケーション構築専用のプラットフォームとして知られています。あらゆるデバイスのアプリケーション開発をサポートします。プライベートクラウド、パブリッククラウド、およびオンプレミス展開のオプションがあります。Mendixの価格は、アプリユーザーの数で計算します。コミュニティバージョンは無料ですが、3つの有料プランがあります。シングルアプリ(月額$ 1875以上)、プロ(月額$ 5375以上)、エンタープライズ(月額$ 7825以上)です。
特徴
・アジャイル方式によるプロジェクト管理。
・分かりやすいモデリングツール
・再利用可能なコンポーネントがある
③ Kintone(キントーン)
Kintoneはサイボウズ株式会社が提供する日本の代表的なノーコードのプラットフォームです。標準機能の範囲で使用する場合、Kintoneはノーコード開発ですが、プラグインやAPIなどの他システムなどとの連携を行う場合、JavaScriptカスタマイズも可能であるため、ローコード開発にも分類されています。Kintoneは、ライトコース(ユーザーあたり月額780円)、スタンダードコース(ユーザーあたり月額1500円)の2つの価格プランがあります。
特徴
・すぐに使えるアプリのテンプレートが100種類以上
・国内製のため使いやすい
・柔軟に拡張できる
④ Salesforce Lightning
Salesforce Lightningは、高度なセキュリティを備えたモバイルアプリを構築するためのプラットフォームです。 Pro-Codeツールで、アプリの作成に任意のプログラミング言語を使用できます。 AIとIoTの埋め込み、Salesforceおよびサードパーティのデータとの統合などの機能を提供します。Salesforce Lightningプラットフォームには、Lightning Platform Starter(ユーザーあたり月額$ 25)、Lightning Platform Plus(ユーザーあたり月額$ 100)、Heroku Enterprise Starter(見積もりを取得)の3つの価格プランがあります。
特徴
・No-Code Builderはモバイルアプリの作成の簡単化に資する
・スプレッドシートによるインスタントアプリ作成。
・Lightning Process Builderは複雑なワークフローを構築するのに役立つ
⑤ Power apps
Power appsはMicrosoftが提供しているプラットフォームです。アプリケーションを構築するためのプラットフォームを提供します。 誰でもプロレベルでアプリの機能を簡単に拡張できる特徴があります。PowerAppsにはユーザー1人あたり月額7ドルとユーザー1人あたり月額40ドルという2つの価格プランがあります。
Power appsについては、【NTQ Engineer Insight】誰でもアプリを作成できるプラットフォームPower Appsの記事もご参照ください。
こちらの事例について詳しくは 「Power Apps 開発事例集」をぜひご覧ください。
特徴
・ポイントアンドクリック操作によるアプリ設計
・事前定義されたテンプレートが多い
・アプリケーションをデータに簡単に接続できる
・iOS、Android、およびWindowsデバイスと互換性のあるWebベースのアプリを開発できる
まとめ:ビジネスも加速させるローコード
ローコード開発を活用すれば、非IT部門の方でもアプリ開発に参加可能なので、現場の課題をうまく解決できます。また、エンジニアと担当者の負担を大幅に軽減するため、生産性とシステムの品質を向上させます。さらに、速やかに業務効率化を行うことにより、DXの実現に近づいて、企業の競争力も期待できます。今後ともローコード開発の活用はさまざまな分野に普及していくことでしょう。
ローコード開発をはじめ、システム開発に関する問題があれば、お気軽にお問い合わせください。
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